障害者といってもいろいろあるが、ここでは発達障害の事例を見ていく。発達障害は、目に見えない障害のために、大人になってから社会生活に困難が生じて、医師の診断を受ける人も多い。
ある人の事例を見てみよう。Aさんは、仕事に就くもうまくいかず、転職を繰り返していた。うつ病を発症し、心療内科に通う中で、発達障害の疑いがでて、診断を受ける。そして、精神障害者手帳を取得した。各都道府県には、発達障害支援センターが設置してある。そこでは、カウンセリングを受けたり、地域の関係機関を紹介してもらえるのだ。支援センターの紹介で、ハローワークの障害者専用窓口に相談し、就職活動を行った。
同時に障害者職業センターにも通い始めた。仕事のない期間、職業センターで職業訓練を受け、そこで同じ障害をもつ仲間もできた。そうしながら、障害者枠の仕事を、ハローワークや職業センターの職員と相談しながら決定。障害者職業センターのジョブコーチ制度を利用し、履歴書の添削指導、職場見学や面接の同伴などのサポートを受けた。この制度では、実際に働いて困ったことがあれば、本人はもちろん、会社側もジョブコーチに相談できる。また、地域の社会福祉協議会にも、生活面の困ったことを相談することも可能だ。このように多方面のサポートを受けながら、仕事の継続を目指している。
どの地域でも、支援機関ごとの特色があり、また、支援者や雰囲気との相性もあることは否めない。多くの人にとって、目に見えない障害を理解するのは難しいものだ。だからこそ、理解しようという気持ちが大切だ。